6次産業化支援

6次産業化について

 6次産業化とは、農林漁業などの一次産業に従事する人々が、加工(二次産業)や販売・サービス(三次産業)までを自ら手がけることで、付加価値を高めて収益を向上させる取り組みです。
 参考として、近隣市等の6次産業化に対する支援や取り組みに関する情報を掲載します。




1. 近隣市等との比較


(1)セミナーまたは研修会の開催状況
 自治体    参考
 岩手県  ○いわて地域資源活用価値創出人材育成研修
  • プロジェクト設計から事業計画作成まで
  • R7年度は11回開催
 PDF:824KB
 出典:岩手県
 花巻市  ○花巻市6次産業化セミナー&個別相談会
  • 食品表示、人材確保、事業拡大など
  • R6年度はセミナー2回、個別相談会3回開催
 PDF:928KB
 出典:花巻市
 奥州市  ○奥州ギフト、ブラッシュアップ&販路開拓スクール
  • 商品開発、プレゼン技術、魅力発信など
  • R5年度は3回開催
 ○6次産業化推進事業補助金や農家×飲食店コラボ事業の説明会も開催
 Iwanichi Online
 (外部リンク)
 遠野市  ○2021年にホップ栽培や山ぶどう収穫などを学ぶ現地研修を実施
 ○現在のセミナー情報は限定的ですが、農泊や地域資源活用の取り組みは継続中
 
 一関市  ○一関地方6次産業化個別相談会
  • R7年度は4回開催
 PDF:535KB
 出典:一関市
 北上市  ○北上市新規就農サポート連絡会議
  • 毎月1回、年12回開催
 PDF:530KB
 出典:北上市
 【参考】
 高知県
 ○スタートアップコースセミナー
  • 計画書づくり
  • R7年度は4回開催
 PDF:420KB
 出典:高知県
 秋田県
 横手市
 ○アイディアをカタチにセミナー
  • 座学、試作、販売体験までを網羅
  • R7年度は9回開催
 秋田県横手市HP
 (外部リンク)
 大分県  ○価値創出チャレンジスクール
  • HACCP、品質管理、マーケティングなど実践的な講座
  • R7年度は9回開催
 PDF:2,002KB
 出典:大分県6次産業化・地域資源活用・
地域連携サポートセンター




(2)補助金等の支援
 自治体    参考
 岩手県  ○農山漁村振興交付金(地域資源活用価値創出推進事業)
  • 加工・直売に係る商品開発等の支援
  • 定額又は1/2
 ○農山漁村振興交付金(地域資源活用価値創出整備事業)
  • 加工・販売施設等の整備を支援
  • 3/10又は1/2
 PDF:102KB
 出典:岩手県HP
  ○6次産業化ネットワーク活動推進交付金
  • 共同新商品開発や販路開拓等を支援
  • 1/2、6次産業化認定者へは2/3
 ○6次産業化ネットワーク活動整備交付金
  • 大規模な加工施設・機械等の整備を支援
  • 1/2
PDF:467KB
 出典:農林水産省食料産業局
 ○専門家の無料派遣
  • 商品開発や食品衛生等に精通した「地域プランンナー」や「食のプロフェッショナルアドバイザー」が支援
 ○伴走型支援
  • 月1~2回の定期的な訪問による継続的なアドバイス
 ○支援機関
  • いわて地域資源活用・地域連携サポートセンター
  • いわて6次産業支援センター
 いわて地域資源活用・地域連携サポートセンターHP
 (外部リンク)


 PDF:1,104KB
 出典:いわて地域資源活用・地域連携サポートセンター
 盛岡市  ○スタートアップ支援事業補助金
  • 農畜産物を活用した商品開発や販路拡大
  • 1/2、上限50万円
 ○FARM TO TABLEプロジェクト
  • 盛岡産の農畜産物を使った加工品の加工事例を紹介し、地元消費を促進
 盛岡市HP
 (外部リンク)
 花巻市  ○花巻市農商工連携事業補助金
  • 農畜産物を活用した加工品開発や施設整備
  • 開発1/2、200万円、施設機械1/3、100万円
 PDF:110KB
 出典:花巻市HP
 ○花巻市ワイナリー整備等事業補助金
  • ワイナリー若しくは付属施設の新設、増改築、又は果実酒等の開発及び販路開拓を支援
  • 新規ワイナリーの果実酒等の開発及び販路開拓1/2、200万円
  • 新規ワイナリーの新設及び醸造設備新規導入4/5,500万円
  • 既存ワイナリーの醸造設備新規導入2/3、200万円
  • 既存ワイナリーの販売所等の新設、増改築1/2、200万円
  • 既存ワイナリーの販路拡大1/2、30万円
 花巻市HP
 (外部リンク)
 ○花巻市醸造技術習得支援事業補助金
  • ワイン・シールド等醸造技術の研修生を受け入れた場合
  • 研修受入者に5,000円/日
 花巻市HP
 (外部リンク)
 奥州市  ○おうしゅう地域資源活用事業補助金
  • 農畜産物を活用した新たな商品開発等に係る機械
  • 設備の購入及び設置工事を支援
  • 1/2、50万円
 PDF:149KB
 出典:奥州市
 ○奥州市創業者支援事業補助金
  • 新たに出店する店舗等の広告経費及び借上げ経費を支援
  • 2/3、30万円
 岩手県HP
 (外部リンク)
 ○奥州市6次産業化推進計画を策定   PDF:631KB
 出典:奥州市
 遠野市  ○遠野市六次産業チャレンジ応援事業費補助金
  • 新商品開発に係る経費や販売促進の広告宣伝費を支援
  • 3/4、50万円
  • 販路開拓のための試食会、物産展、商談会等の参加を支援
  • 1/2、50万円
  • 新技術の事業化実証を支援
  • 1/2、50万円
 遠野市HP
 (外部リンク)
 ○遠野市チャレンジする六次産業応援資金利子補給金事業
  • 六次産業化や農商工連携に必要な資金の利子を支援
  • 利率1.0%以内を利子補給
 遠野市HP
 (外部リンク)
 ○遠野市六次産業化
  • 地産地消推進戦略を策定
 遠野市HP
 (外部リンク)
 一関市  ○一関市農商工連携開発事業費補助金
  • 農林水産物を活用した加工品の開発及び販路開拓、加工施設や機械整備を支援
  • 開発1/2、50万円
  • 施設機械1/3、100万円
 PDF:120KB
 出典:一関市
 北上市  ○北上市新事業創出支援事業補助金
  • 新製品の開発又は提供、新サービスの開発又は提供、新販路の開拓、新販売方法の導入、6次産業化の事業
  • 中小企業者が行うもの1/2、100万円、農業者等が行うもの2/3、100万円
 北上市新事業創出支援事業補助金
 (北上市農業支援センター)




(3)実績
 自治体    参考
 岩手県  ○地域ブランドの創出
  • 「いわて果実」や「i-WOOL(岩手県産羊毛)」など、県産品のブランド化による認知度向上と販路拡大
 いわて果実/ i-WOOL
 (外部リンク:岩手県HP)
 ○認定事業者の拡大
  • 令和3年度までに多数の事業者が「6次産業化・地産地消法」に基づく事業計画の認定を受け、加工・直売、レストラン運営など多様な形態で展開
 ○新商品開発と販路開拓
  • 黑にんにく、米粉麺、山ぶどうジュース、食用ほおずきドリンクなど、地域特産品を活かした加工品が多数誕生
  • インターネット販売や道の駅、百貨店などを通じて県内外へ販路を拡大
 ○雇用創出と地域活性化
  • 事業拡大に伴い雇用人数が増加した事例もあり、地域の高齢者や障がい者の就労支援にもつながっている
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 ○支援体制の整備
  • 「いわて6次産業化支援センター」や県の交付金制度を活用し、プランナーによる事業者支援や研修を実施
 いわて地域資源活用・地域連携サポートセンターHP
 (外部リンク)
 ○事例
  • サンファーム(盛岡市):果実加工品(ジャム・コンポート)開発と通年販売
  • 紫波フルーツパーク(紫波町):スパークリングワインの醸造・販売
  • 3ちゃん・矢次(矢巾町):味噌・加工菓子の製造と直売
  • やまに農産(西和賀町):西わらび・カシスを活用した商品開発
 PDF:1,977KB
 出典:いわて6次産業化支援センター
 盛岡市  ○FARM TO TABLEプロジェクト
  • 市が推進する取り組みで、地元農畜産物を活用した加工品の開発を支援
  • 令和2~5年にかけて多数の商品が誕生
 ○有限会社サンファーム ・ラズベリーやブラックベリーを使った「飲む果実酢」を開発
  • 自社農産物を原料にしたジャムやコンポートなどを展開
  • 総合化事業計画の認証を受け、売上や雇用の増加に成功
 ○りんご工房きただ
  • 盛岡産りんごを使ったゼリーを20種類以上展開
 ○佐々木果樹園
  • 減農薬リンゴと自家製酢、岩手県産米麴を使った健康飲料「ちゅるっと!体美人」
 ○さとう農園
  • 人口甘味料不使用のりんごジュースを製造
 盛岡市HP
 (外部リンク)
 花巻市  ○高松農業・農村振興協議会
  • 地元産の米・枝豆・山の果実(ガマズミなど)を活用し、米粉や枝豆粉を使ったケーキ・クッキー、ジュースなどの加工品を開発。高齢者の雇用創出にも貢献
 ○有限会社菅原ぶどう園
  • 自社栽培のブルーベリーやリンゴを使ったジャムやコンポートを製造。保存設備の整備により、通年供給体制を構築
 ○有限会社及川フラグリーン
  • 規格外のリンゴを活用したジュレやコンポートを開発。インターネット販売など新たな販路を開拓
 ○高橋葡萄園
  • 自家産ぶどうを使ったオリジナルワインの製造・販売。マイクロワイナリーを設立し、醸造技術の向上と販路拡大を目指す
 ○社会福祉法人悠和会
  • 障がい者の就労支援を兼ねた農業と福祉の連携事業。リンゴを使った無添加ジュースやシードルの製造・販売を展開
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 奥州市  ○推進計画の策定と改定
  • 令和3年に「奥州市6次産業化推進計画」を策定し、令和5年には中間評価を踏まえて改定
  • 地域資産(農畜産物)を活用した商品・サービス開発を通じて、農業者の所得向上を目指す
 PDF:804KB
 出典:奥州市
 ○推進協議会の設立
  • 2020年に「奥州市6次産業化・地産地消推進協議会」を設立し、既存の3組織を一本化
  • 農業・商工業・観光など異業種連携による事業展開を促進
 ○地域おこし協力隊との連携
  • 地域6次産業化プロジェクトを担う人材を募集し、民間主導の組織づくりを支援
  • 「おやつフェスティバル」や料理コンクールなど、食文化を活かしたイベントを実施
 
 ○認定事業者の活躍
  • 複数の事業者が6次産業化認定を受け、加工品開発や販路拡大に取り組む
 ○事例
  • 阿部自然農園:自然栽培米の加工、販売
  • 株式会社網代農園:米粉商品開発
  • 岩手ファーマーズミート:ブランド牛の加工、販売
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 遠野市  ○第二次推進戦略の策定(2021)
  • 令和3年に「第二次六次産業化・地産地消推進戦略」を策定し、地域資源の活用と地元消費の促進を目指す
 ○ホップを核とした地域ブランド構築
  • 遠野市は日本有数のホップ産地であり、大手ビールメーカーと連携した「ビールの里」プロジェクトを展開。ホップ栽培からクラフト製造、観光(ビアツーリズム)までを一体化した取り組みを進める
 PDF:2,104KB
 出典:遠野市
 ○宮守川上流生産組合による集落営農
  • 小規模農家が連携し、「一集落一農場」を目指して米、野菜、果樹の栽培から加工品(ジュース、ジャム、どぶろく等)の製造、販売までを行う多角的な事業を展開
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 ○経済効果の数値的効果
  • 地域再生計画に基ずく6次産業化関連の効果額は、平成30年度に17.4億円と推計され、目標を上回る成果を達成
 ○海外展開とインバウンド対応
  • 台湾での物産展開催や外国人観光客の増加(2018年度は推計2,700人)など、地域産品の海外販路拡大と観光振興にも力を入れる
 
 ○地域商社の役割
  • 一般社団法人遠野ふるさと商社が地域商社として機能し、地場産品の開発・流通・販路拡大を担っている
遠野ふるさと商社
 (外部リンク)
 ○事例
  • 株式会社遠野牧場:遠野和牛の生産と肉及び加工品の製造、販売
  • NPO法人遠野まごころネット:地域の農産物と海産物を用いた「三陸海鮮餃子」及びオーガニックハーブの加工、販売事業
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 一関市  ○もち食文化の活用
  • 400年以上の歴史を持つ「もち食文化」を核に、観光と農業の活性化を図る「一関もち食推進会議」が設立された。もち料理の体験や「もちマイスター検定」なども実施されている
 ○「食と農の景勝地」認定
  • 農林水産省の制度により、もち食文化を中心とした地域活性化の取り組みが評価され、全国5地域のうちの1つとして認定される
 PDF:10,732KB
 出典:一関市商工会議所
 ○事例  
  • 有限会社ビービーシーフォレスト:循環資源を活用した水耕栽培による野菜の生産とカット野菜の販売
  • 藤沢ラズベリーファーム有限会社:有機ブルーベリーや野菜のパウダー化と、それを使った菓子製品の開発・販売
 PDF:454KB
 出典:農林水産省
 北上市  ○事例
  • 農事組合法人さらき:米及び野菜の業務用加工品開発・直売による地域活性化事業
  • Osaruno Purin:地元食材を活かした「きたかみプリン」開発とプリン工房の建設
  • アリーブ株式会社:障がい者支援を目的としたクッキー開発
  • 焼肉ダイニングまるぎゅう:地元産「きたかみ牛」を提供するレストランを開業
  • 神楽屋:蕎麦の栽培から提供までを一貫して行う手打ち蕎麦屋
 PDF:454KB
 出典:農林水産省

 北上市HP
 (外部リンク)





2. メリット・デメリット、コスト等の情報


 メリット  ○所得向上
  • 加工・販売まで自ら行うことで、中間マージンを省き利益率がアップ
 ○雇用創出
  • 加工・販売・観光などの事業展開により、地域の雇用が増加
 ○地域活性化
  • 観光農園や農家レストランなどが地域の魅力を高め、交流人口が増える
 ○ブランド化
  • 地域資源を活かした商品開発により、独自ブランドの確立が可能
 ○事業の多角化
  • 複数の収益源を持つことで、経営の安定性が向上
 デメリット  ○初期投資が必要
  • 加工施設や販売設備の導入に多額の費用がかかる
 ○専門知識が必要
  • 加工技術、衛生管理、マーケティングなど新たなスキルが求められる
 ○衛生管理の負担
  • HACCPなどの衛生基準を満たす必要があり、管理体制の構築が不可欠
 ○収支安定まで時間がかかる
  • 黒字化まで平均4年程度かかるケースもある
 ○業務の多忙化
  • 生産だけでなく加工や販売まで行うため、業務量が増加し負担が大きくなる可能性がある
 コスト  ○設備投資
  • 加工施設、店舗、冷蔵設備など:数百万円~数千万円
 ○商品開発
  • レシピ開発、パッケージデザインなど:数十万円
 ○広報・販売促進
  • ウェブサイト制作、広告、イベント出店など:数万円~数百万円
 ○運営コスト
  • 人件費、原材料費、物流費など:継続的に発生(変動あり)






3. まとめ

 6次産業化を進めるためには、一次産業の生産者が加工・販売までを一体的に担う仕組みを構築する必要がある。これは地域の農林業を活性化させる鍵であり、次のような要素が重要になる。


○生産者の意識改革とスキルアップ
  • 加工や販売までを視野に入れた経営マインドの醸成
  • 商品開発、マーケティング、ブランディングに関する知識の習得
  • ICTやデジタルツールの活用による効率化

○加工・流通インフラの整備
  • 地域の加工施設や小規模工場の整備・支援
  • 衛生・品質管理の徹底(HACCPなど)
  • 地元企業や自治体と連携した流通網の構築

○ブランド化と販路拡大
  • 地元ならではの魅力的な商品づくり(ストーリー性、デザイン、機能性)
  • ECサイト、ふるさと納税、地域イベントなど多様な販売チャンネルの確保
  • 観光業と連携した体験型販売(農業体験、料理教室など)

○地域連携と人材育成
  • 異業種・多世代との連携(商工会、観光業、大学など)
  • 若手人材やUターン・Iターン者の育成・定着支援
  • 地域全体でのビジョン共有とプロジェクト推進

○財政支援と制度活用
  • 国・自治体の補助金や助成制度の活用(例:農業者トータルサポート事業)
  • 小規模事業者のための資金調達支援(クラウドファンディングなど)
  • 地域ファンドや農業法人の活用




問い合わせ先
 北上市農業支援センター  TEL:0197-72-8311
              E-mail:k-noshien001@kitakami-asc.jp




更新日:2025年09月03日
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